プラハの誇りある犬たち

ahoj, Pepo, podivej se na taky dole!


プラハに犬が多いのは、観光でちょっといらした方もすぐ気がつきます。公園はもちろん、トラムやメトロにも、レストランにもホスポダにも。そしてもちろん、プロの犬たちもいます。例えば彼のような。

黄色いゼッケンにある“Pes Asistent”とは介助犬のこと。
お天気が続く土曜日、プラハのとある公園で、介助犬とその持ち主たちによるお祭りがあったので犬好きの我々も行ってきました。
題して“helppes”というお祭り。http://www.helppes.cz
pesチェコ語で犬、の意味。普段は介助犬の訓練場になっている広々とした芝生の上に様々な犬、犬、犬!




持ち主のハンディキャップの人たち、たくさんの車椅子、単に犬を連れて見に来てる人たち、犬もいないのに見に来てる人たち(ウチらです)、といろいろなのがいい感じ。自作の焼き物や籐籠を売る人、例によってソーセージやBBQの屋台、音楽ステージももちろんお約束です。

着いたそうそうソーセージをほおばり、嬉々として写真を撮っていた私に、前に座った男の子が「僕とENIを一緒に撮って!」と無邪気に頼みます。恥ずかしがりやのENIをむりやりカメラ目線に正してハイ、ポーズ。

Ahoj, Pepo a Eni, jak se máte? Doufám, že se na to můzeš podívat. Víš, Eni vypadá jako trochu tvrdý, ale je to moc hezkej, že jo? Mějte se, rybička.
パソコンが家にないという彼、学校で見るからとアドレスをメモってくれたのですが見れてるといいな。。。

ステージではいろんな介助犬が登場して、様々な技を見せて会場を沸かせます。

冷蔵庫を開けて中のものを取って来てくれたかと思えば、来客、携帯の着信を知らせる、洋服を脱がせる、はたまた心臓発作が来ることを事前に察知し、薬を持ってくる賢い子までいます! しかしこういうのは訓練だけでなく、生まれ持った才能も必要なんだとか(人間と同じですね…)。

飼い主さんたちが犬と一緒に前に出てきて、マイクで「この子は何ができて…」と説明するのですが、印象的なのは、何よりも一番の友達!と口を揃えて言うこと。ちょっとあがって落ち着かなくなる犬もいますが(笑)、無事デモンストレーションを終え、犬たちもどことなく誇らしげ。

そして続々と登場するゲストがなかなかの豪華メンバーです。

車椅子の彼は、ヤン・ポトムニェシル(Jan Potměšil)という俳優さん。89年以前はイケメン俳優として有名でしたが、ちょうどビロード革命前夜、「体制なんて変わらなくていい!」という田舎のひとたちを説得するために駆け回っていた彼は、オストラヴァからの帰り道事故に遭い、車椅子の生活を余儀なくされたのでした。
奥さんと彼の介助犬も登場。

当然、以後の俳優活動には制限ができるのですが、今でも俳優として活躍、このようなイベントにも積極的に出ていて、旦那いわく「負けない人」。彼のような人がいたからこそ成功したビロード革命だったのでしょう。。。

そしてこの人。

Dagmar Havlovaさんって…誰かわかりますか? 
 
そうです、ハヴェル元大統領の奥さんですね。司会者とのやりとりをしばらく黙って聞いてた旦那が例によってコメントをぽつり。「やっぱりこの人あんまりしゃべれないな」ですって。辛口です。
そしてこの人は誰でしょう? なかなかのハンサムで、山登りが趣味のスポーツマンでスタイルも抜群、しかもお医者様。

そう、プラハ市長パヴェル・ベーム(Pavel Bém)さんです。

おしゃれだし、かっこいいよねぇ?と旦那に言うと、「…うーん。でも自慢の気持ちはある。」(→ちょっと鼻にかけてる、という意味です)とまたまた辛口コメント。やっかみとも言いますね。余談ですが、彼も例のマドンナカレル橋ジャックに猛反対してたひとり。結局マドンナ様は、例のルイ・ヴィトンパーティには出席せず、コンサート会場から空港へ直行、日本公演の前のモスクワへ逃げるように帰ってしまいました。

話を戻して、さらにプラハの重要人物が登場。

プラハ動物園の園長さん、長身のペトル・フェイク(Petr Fejk)さんです。元ライヴハウスのオーナーという変り種。プラハの動物園にはゴリラのmoja(女の子です)という人気者がいるのですが、さらにまたゴリラが誕生する予定だとか。楽しみです。

そして特設ステージで私たちが見たバンドはふたつ。
ちょっとニルヴァーナとパール・ジャム(もうすぐプラハに来ます)を足して2で割ったようなイモディウム(Imodium)という若者バンド。旦那はとても気に入っていました。けっこうかわいくて(笑)、私も気に入りました。要チェックです。


そして古株、主に60年代に活躍していたというイーストパーク(Eastpark)の面々が登場。

フジェベイク監督の映画『Pelišky』の中に出てくる"povídej"という歌を歌っていました。

犬たちも1日がかりでお疲れさま。プラハの誇りある犬たちが一斉に集った秋の1日でした。