イジー・メンツェル監督『英国王 給仕人に乾杯!』ついに日本上陸!Vol.3

旧市街広場のクリスマスツリー


今年も後わずかを残すまでとなりました。プラハはクリスマスモード全開です。

旧市街広場には今月初めから恒例のチェコの山地クルコノシェから運ばれてきた22mのツリーが飾られ、連日観光客&チェコ人で賑わっています。

パリ通りも美しく変身。

そしていよいよ今週土曜日(12月20日〜)から、日比谷シャンテにてメンツェル監督のチェコ映画『英国王 給仕人に乾杯!』(「Obsluhoval jsem anglického krále」)が公開されます。もっか同劇場でメンツェル映画祭を開催中、オスカーを受賞した『厳重に監視された列車』に引き続き、お正月映画として登場予定。チェコ好きはもちろん、ヨーロッパ映画好きには必見!の映画です。

11月にはほぼ20年ぶりの来日も果たしたメンツェル監督(右端)。

チェスケー・ブディェヨヴィツェの劇場にて、シェイクスピア『から騒ぎ』のリハーサル風景。

監督の40歳年下の奥さん、オルガさんがつい先日の12月11日(木)に女の子を無事出産。Anna Karolínaちゃんと名づけられたのですが、今年夏からずっとオルガさんと別の監督との関係がBleskなどのゴシップ誌で取りざたされていて、赤ちゃんの父親は明らかでないという状態。映画とは直接関係ないので、この件はまた後日にまとめようかと思いますが、今チェコでメンツェル監督の話をしようものなら避けて通れない話題になってしまっています。メンツェル監督が持ち前の聡明さとユーモアとでこの試練を乗り切ってほしいと心から願います。

さて、映画に出てくる場所について以前にも書きましたが、今回のVol.3は、まず直接ロケ地じゃないけどここ。

旧市街にあるウ・ズラテーホ・ティグラ(U Zlatého tygra, Husova 17)こと、黄金の虎。ビールの美味しい有名なホスポダですが、この映画の原作者であるボフミル・フラバル(Bohumil Hrabal)が愛したお店でもあるからです。

入口はいって正面には彼の名前と頭部の像が。

滑らかな泡を持つ極上の黄金色の液体を求めて、観光客のみならず地元チェコ人たちも通います。

通り沿いの壁には、フラバルが描かれた絵。

たいていのホスポダで注文できますが、監督のインタヴューのために来日した佐藤友紀さんの一番のお気に入りチェコ飯は、ここのウトペネツ(Utopenec、溺れた人、土左衛門の意)でした。

スーパーでも瓶やタッパーにおさまり売られています。

こうしてみると、いかにもずんぐりむっくりの溺れたヒトのイメージ。仮にも食べ物なのにこのネーミング、日本の常識からしたらありえませんが。。。でも味は酢が効いてサッパリしてて日本人好みかも。どこにでもあって高くないのでチェコにいらしたら是非一度お試しあれ。

で、映画に出てくる食べ物の話(少しだけネタバレも含みます)。主人公のヤンに多大な影響を与える重要な役どころのお金持ちユダヤ商人、ヴァルデン氏がルームサーヴィスで頼むサラミについて。

ウヘルスキー・サラーム、略してウヘラーク(uherák)と呼ばれるこのハンガリーのサラミ、ウチの旦那もそうだけどチェコ人のファン多し。高いんだけど、サラミのなかで一番♪なのだそう。あまり食べ慣れてない私からすると、違いがイマイチわからないのですが。。。

そのヴァルデンさん、ホスポダでメニューを見ながら、ココからココまでじゃんじゃん持ってきて!と成金的オーダーをするのですが、その時「これをのぞいて」と省かれたのがこれ。ウトペネツの隣のスープ。

ドゥルシュチコヴァー(dršt'ková)と呼ばれるモツ煮込みスープ。ニンニク味が強いけど、寒い日にはしっかり温まってチェコのパン、フレバとよく合います。もちろんビールとも抜群の相性。具は豚の胃袋が普通だけど、キノコを代用しても美味。庶民的なホスポダのスープ(Polevky)の欄に見つかることが多いこちら、写真は英語メニューを頑として置かないウ・ルドルフィナ【U Rudolfina, Křižovnická10, Praha1,トラム17or18番Staroměstská停留所前、11-23:00年中無休】でいただいたもの。

ってなんだか…お腹がすいてきちゃった。まだネタはつきないのですが、また次回。
今回お話をいただき、ここにはまだ登場してない映画にまつわる話のあれこれを劇場販売用パンフレットに書かせていただきました。映画のパンフレットって、ポスターはあるんだけどチェコでは見かけません。日本だけの習慣みたいですが、映画を見終わったあと、余韻に浸りながらパンフレットを読む時間が好きでした。この場を借りて大変お世話になった東宝ステラの山本さんに深くお礼申し上げます。

…というワケで美味しいものが次から次へと登場する『英国王 給仕人に乾杯!』、是非とも映画館へお出掛けください。心からオススメできる映画です。