ムサフィールのライヴinアクロポリス

アクロポリス正面


金曜の夜、ムサフィール(Musafir)というインド(もうパキスタンに近い北西部ラジャスタンの砂漠が彼らの出身地)のロマのバンドをアクロポリスというライヴハウスに見に行った。
アクロポリスプラハ3区の、テレビ塔からすぐのところにある。そんなに広くはないが、ユッスー・ンドゥール(Youssou n'Dour)やラシッド・タハ(Rachid Taha)、最近ではティナリウェン(Tinariwen)などワールドミュージックのライヴを多くやっているところ。
もう8年も前になるけれど、大のお気に入りバンド、レ・ジノサン(Les innocents)のライヴに日本から1泊3日で見に行った、私にとっては思い出のライヴハウス
19時半、あたりが薄暗くなってきたころ会場に到着。もうかなりの人が集まっている。96年のチェコ国内デザインコンペティションで特別賞をとったという内装もさることながら、外観もご覧の通り(右上写真)、鮮やかな色合いですぐにわかる。
入口に貼られたムサフィールのライヴ告知ポスター

中はバーもテーブルもあってちゃんとした食事もできる。開演が30分程遅れたので、やはりビールを飲みながらまったり待つみなさん。。。階段や床に座ったりしてゆる〜い雰囲気です。

今晩に限らないけれど、ライヴの間、ステージ近く前の方では日本メーカーの本格的なカメラを持った人をたくさん見かける。デジカメ持参の人も多い。暗くてわかりにくいですが負けじと撮ったものを。。。

満席の中、印象的な楽器の数々と登場して客席を魅了する。バパンクという、太鼓に弦が1本張られた七変化の音が出る(話してるようにも感じる)楽器、ちょうどアコーディオンを床に置いて演奏するような鍵盤楽器、ハルモニウム(ダール)など初めて見る楽器ばかり。メンバーの一人が「音を聞くと砂漠を感じてもらえるでしょう」と言っていたけど、本当にエキゾチック。


タブラ(左の太鼓)、少し白い鍵盤が見えるとなりの四角い箱みたいなのはハルモニウム、そして縦に置いてある太鼓のようなのがバパンク。その隣に寝かして置いてあるのはチェロの倍音多くしたような弦楽器サーランギ。他にも縦笛を二本つなげたような、蛇使いっぽい音がする笛など。規則正しい、でもしばらくするとトランス状態になりそうな太鼓のリズムに、メロディを作る楽器群、さらに体の奥底からふり絞るような圧倒される声が重なって、まるでオペラのような。旦那いわく「ひどい風邪のとき、これを聞いたら治った」んだそう。なんだか念力みたいなものがたっぷり入っていそうで、わかる気がする。実際歌詞も雨乞いの内容だったりするのもあるらしい。
盛り上がってきたところに美しい衣装をまとったダンサー登場。お香の壷を頭にのせて踊ったり、ブリッジしたまま床に置いた指輪をまぶたの上にのせたり、自転車の車輪みたいなのを皿回しのように操ったりして、雑技団のような演目。成功するとやんやの喝采

…でも、どう見てもこの人、乙女な男の人としか思えない表情としなやかな腰つき。。。

ま、それはどうでもいいのだけど、約2時間のあいだイスラム千夜一夜物語のなかに入ったような不思議な感じだった。一番強い印象はやはり彼らの声。聞きながら、これゼッタイ楽譜に書けないよなぁ〜、習う人は耳で覚えていくんだろうけど大変そう…などといろいろと思いを馳せてみたり。ときどきピチカートファイヴの『マジック・カーペット・ライド』のイントロがぐるぐる回ったりしていた。。。こぶしのカンジが似てる…?
最後にメンバー&ダンサーの紹介が終わっても観客(インド人っぽい人もちらほらいた)からの拍手がなかなか鳴り止まず、メンバーが「ありがとう。でもこれが最期のライヴじゃないんだから…」と英語で挨拶。アンコールを1回やってお開きに。
この日のチケットは280kč(約1400円)。日によって違うけど日本よりは全体的に開演が遅いので、観光後でも間に合う。プラハ滞在中に見逃していたアーティストのライヴが見れるかも。http://www.palacakropolis.cz/pakr/pub/home/english/Main/index.jet