北欧デザインをめぐる旅 vol.4
コペンハーゲン→オスロ行きのスカンジナビア航空便は同便がとれた私たち。初めてe−チケットのチェックインを自分たちでやりましたが、取りたい席を自分でチェックできるし、なんとも便利です。今や高い燃料費にあえいでいる航空会社、人件費削減はもちろん、航空券に使う紙代もバカにならないというわけですが、これは消費者にとってもいい傾向。銀行のATMが使える人なら難なくできます。
オスロのガーデモエン国際空港はデンマークよりもさらに大人の香り漂うデザイン。床のみならず天井にまで贅沢に木材が使われていて、モダンでも冷たい感じはしません。スカンジナビアの中ではデザイン面で遅れをとっているなどと書かれがちなノルウェーですがなかなかどうして。
物価はデンマークよりさらに高いというウワサだったので、空港から中心までは電車より安いSASのバスで。往復で買うと若干割引になります。
なんとなく東京を思い出すきれいな道路。日本もチェコから久々に行ったらモダンな先進国に映るんだろうな、などとぼんやり考えながらバスに揺られること約40分。
このバス、乗るときに運転手さんがどこのホテルか乗客に聞いて回り、臨機応変にルートを決めます(笑)。この辺はきっちりしてる(融通がきかない?)日本と違ってアバウトなのがやっぱり外国。
ホテルは友人が日本から驚くほど安く予約してくれたのですが、ムンクやイプセンも通った有名なカフェがあるグランド・ホテル(☆☆☆☆☆!)。
オスロの繁華街、カールヨハンソン通りに面しています。
近くには北欧カラーのトラムが。
雨の降るなか、ムンク美術館へ。
ここに入るのには空港並みのセキュリティ。傘もカバンも地下のロッカーに預けなければならないとあって、警備員のお兄さんに「こんな話、聞いたことないワ!」と食ってかかる、前に並んでた外国人のおばちゃん。。。というのも、ムンクの作品が2度も盗まれたからなんです。入場チケットがバーコードになっていて、機械が読み取ると扉が開いたり、さらに二重三重の扉をくぐらないとなかなか中へは入れてくれません。
ちなみにこのセキュリティは、ノルウェー人の元同級生、クリシュトフが教えてくれたのには日本が寄付しているんだそう。日本よりだいぶお金持ちそうなこの国に寄付する理由がよくわからないけれど。。。
『叫び』があまりにも有名なムンク、でもセザンヌを思わせるようなタッチの明るい色使いの絵も描いています。港に近いオスロ市庁舎は彼のそんな絵のほか見所満載でオスロに行ったら是非立ち寄りたいところ。
壁一面ムンクの絵がある広間。貴族のお城の感じです。絵の反対側はオスロ港一望の窓。
“ムンクルーム”と称されたミニ会議室もあります。
中央は12月10日に行われるノーベル平和賞の授賞式が行われる広いホール。平和賞以外のノーベル賞授賞式はストックホルム市庁舎で行われますが、平和賞はここオスロで(まだノーベルが存命のときはスウェーデンとノルウェーはひとつの国でした)。
国際会議場もなんとも暖かい感じのするインテリア。
でもなんといっても度肝を抜かれたのがここ。
こんなお洒落できれいなトイレがあって(しかもタダで使えるんですよ、奥様!)いいんだろうか、とため息。
翌日朝はグランド・カフェでゆっくり朝食を楽しんだ後、この市庁舎前から出ている船で対岸のビィグドイ地区へ渡ります。目指すはコンチキ号博物館。
『コンチキ号漂流記』で有名なトール・ヘイエルダールゆかりのものを集めている博物館です。
船を降りて、博物館へ行く途中、ホテルの朝ごはんで失敬してきたパンをちぎってあげると手からも食べるかわいい雀たちにしばし夢中。
博物館は実物大のいかだやミニ映画、ヘイエルダール家のスナップっぽい写真なんかもあってなかなかの見ごたえ。
こんな簡素ないかだで太平洋を渡ろうなんてすごすぎ。破天荒な学者です。
バルサ材(パピルス)で作ったラー号(太陽の意味で、日の丸にそっくり)も荒海でゼッタイ乗りたくない感じなんですが、ちゃんと乗組員(日本人カメラマン含む)も集まるところを見ると、このヘイエルダールさん、かなり魅力的な人だったんじゃないかなぁと想像します。
しかもこのラー号の航海記のドキュメンタリーフィルムでオスカーまでもらってるんだから、ますますタダ者じゃありません。
併設ショップでコンチキ号Tシャツやら帽子やらを買い込み、また船で戻ってちょっとの間ショッピング。
デパートの試着室(よく見るとベルヴューにあった劇場にそっくりだから)&椅子もヤコブセンのよう。恐るべしスカンジナビア。
チェーン店のピザ屋の店内にあったお洒落な木製の電話。
チョコレートも洗練デザイン。
牛乳もポップ!
夕方、チェコ語の学校で一緒だったオスロ出身の元同級生、クリシュトフと合流し、この日だけ20時まで開いている国立美術館でいよいよムンクの『叫び』に対面できることに! この美術館はいつでも無料。さすが太っ腹です。『叫び』はムンク美術館にはなく、ここ国立美術館にあるのです。
ノルウェーの画家を中心に、ムンクの知られざるその他の作品群、ノルウェー以外のフランドル派や印象派、キュビズム以降の現代絵画も揃い、美術の教科書に載ってるような有名どころも押さえています。
「久しぶりに見るから」と一緒に周ってくれたクリシュトフ、その後行きつけのbarによって一息。中欧の政治について勉強している彼は、3月までプラハに4年近く住んでいて、プラハの彼の行きつけのお店にもときどき連れていってもらったりして、クラスでも仲がよかったひとり。今年の秋からは今度はブダペストで1年勉強する予定とかで今はお給料の高いオスロで留学費用をためているところ。
「もうホントに物価が高くて…。ホテルの朝食のときに昼食用のサンドイッチも作ってるんだよね、ここだけの話」「…よくいるんだよね、そういう客(→あきれてる)。まぁビールはプラハの10倍だしね。」なんていう話をしつつ、そういえばチェコ語のクラスで平均月収の話になったとき、えらい高かったような、って話をふると、マクドナルドなんかのアルバイトの最低時給でも12〜13ユーロはもらえるんだそう。そりゃ物価も高いわ。
その後、barをはしご。めちゃくちゃ音がいいジャズバー、BareJazzは1FがCDショップと中庭席、2Fはライヴスペースもちょこっとある喫茶店&bar。
でも人参ケーキがおいしい!
CDも当然のごとく2倍近く高いので、ここで聞いて気に入ったCDの番号をメモる友達(笑)。ミュージシャンが豪華メンバーだったのできっと東京で買えるに違いないと踏んで。。。無事見つかったかしら?
BareJazzの中庭。
こうしてクリシュトフとは近いうちプラハでの再会を約束し、私は友達より一足早いプラハ行きの便でオスロを後に。
プラハに戻ってきたら、なんだかホッとしました(値段に?)。ここがだんだん“家”のようになってきているのでしょうか。。。