チェコの選挙あれこれ

いや、決闘って。。。いい加減話しまし


冬のコートを引っ張り出してからしばらくたち、朝は霧、霜、7時過ぎても暗い…とじわじわと冬の気配の今日この頃。今月末は冬時間に切り替えです。
そんな先週末の金、土の二日間、チェコでは任期満了にともなう地方議会の選挙(Komunální volby)と上院議会選挙(Senátní volby)がありました。

選挙権がない私も、旦那の投票にくっついてちょっとチェコ有権者気分を味わいました。チェコでは選挙権は18歳以上。日本と同様、住所登録している自治体の小学校などで投票が行われます。

日本と少し違うところは、土日の週末ではなく、金曜の14〜22時&土曜と前倒しになっているところ。週末は多くの人が郊外の別荘に行ってしまうので、その前を捕まえようというわけです。

投票用紙はこちら。大きな新聞のような紙に名前がズラっとあって、基本的には政党を選ぶ比例代表制。ただし個人の名前をチェックする欄もあり、各政党が決めた優先順位に有権者が関与することができるしくみ。

投票の部屋(ピアノが置いてあったり、子供たちの絵が貼られてたりする教室のひとつ)に長机が用意され、選挙管理委員のひとたちが並んで座っている光景は日本と変わりません。その机の前にある大きな青い箱に投票用紙を入れたら完了です。

地方議会選挙(つまり市議会,区議会の議員を選ぶ)で今回大勝したのは与党右派の市民民主党(以下、ODS)。同時に行われた上院議会選挙でもやはり圧勝でした。だってODSの選挙キャンペーン気合いはいっていたもの。。。


彼は在チェコ日本人住民も多いプラハ6区の区長、トマーシュ・ハルパ(Tomáš Chalupa)さん。

有権者のひとたちとじっくり話しつつ、

有名なバンドも呼び、破格(10kcぽっきり)のソーセージをつまむ有権者のひとだかりでお祭りのよう。ついでに…

来年のカレンダーやらペンやら地図などのおみやげを大盤振る舞い。(有権者でもないのに、ちゃっかりもらってる私も私ですが…)
ライバル政党(チェコ社会民主党=ČSSD)が「ODSはキャンペーンに倍のお金を使ってる」と批判したのもわかる気がします。
ちなみにこのハルパ区長の隣に映ってるのが、前にも登場したプラハ市長、パヴェル・ベーム(Pavel Bém)さん。プラハ市長になる前は、プラハ6区の区長でした。つまり現6区区長とプラハ市長は同じODSで、先輩後輩にあたるというわけです。

http://www.expo2005.cz/jp/regions/bem.shtml

市長は直接選挙ではないですが、元から強い地盤のプラハでもやはり強かったODSの圧勝(54%ゲット)で、ベーム氏の市長続投(任期4年)は確実となりました。

投票率(全国)は46.38%。ホスポダで政治談議につばをとばしてるわりには低いな…というのが私の感想(笑)。でも本格的に寒くなる前に今年最後の別荘ライフを満喫したい、というコトだったのかもしれません。もちろん地域によってかなりこの投票率は変わってきますが、いずれにせよ1万人以上の都市133都市中、96都市でODSが勝ったというのだから、明らかに勝負あり、の結果。

http://volby.idnes.cz/obce.asp

さて、同時に行われた上院議会の選挙について。
チェコは両院(二院)制で、日本の衆議院のような一般的な議会が下院。こちらは6月に選挙がありました(その後、組閣でもめにもめましたが…)。
今回は、日本でいう参議院のような上院議会の選挙(被選挙権は40歳以上)。全国81の選挙区を3つに分け、2年ごとに3分の1ずつ選挙を行うというシステム。6年で総入れ替えになる(選挙で勝てば続投はできますが)しくみ。
今回例えばプラハなら2、4、8、12区の選挙区で投票が行われました。1選挙区で一人選出するのですが、そこで50%を一人でゲットした人が出ればそこで決まり。いない場合は次の週(つまり今週末)に上位2人に対して決選投票が行われ、単純に過半数取ったほうが勝ち、という2回投票制です。
第一回目の先週の投票率(全国)は42.09%。今回選挙が行われた27選挙区のうち、実に26選挙区まで(チェコ西、zlín以外)でODSがこの決戦投票へ進む模様。

最終的な結果は今週明けまで待たないといけないのですが、すでに新聞では“Zisky ODS, ztráty komunistů”(ODS勝利、共産主義者減)あるいは“Řada měst se o víkendu změnila z "rudých" na "modrá"”(多数派、週末で“赤”から“青”へ変化)と打っています。

http://volby.idnes.cz/senat.asp?typ=mandaty

今回のODSの圧勝、何も安いソーセージや派手なキャンペーンばかりが奏を効したわけではないでしょう。政治の話は得意ではないので、他にも様々な要因があるはずなのですが、ひとつには6月の下院選挙から続いているトポラーネク首相率いるODS VS. パロウベク元首相率いるČSSD(チェコ社会民主党)の膠着状態、特にこのパロウベクさんに正直うんざり、というのがあるのでは。。。

英ブレア首相と映っているのがイジー・パロウベク(Jiří Paroubek)元首相。

そしてヴァーツラフ・クラウス(Václav Klaus)大統領(左)の隣にいるのがミレク・トポラーネク(Mirek Topolánek)現首相です。

冒頭右上写真にあるように、この二人の話は長いのですが、はしょって言うと、今年6月の下院選挙で、今までの与党であったČSSDにNoを出したチェコ国民、変わってODSが与党となるものの、下院定員200人の過半数には満たず。そこでODSはキリスト教民主連合ーチェコ人民党(KDU−ČSL)と緑の党(SZ)による連立政権を作ろうとしますが、この3つをあわせてもちょうど半数の100で、組閣にあたりパロウベクさんの意見を無視できない状態に陥ります。ボヘミアモラヴィア共産党(KSČM)の力を借りる借りない、無所属の学者などの専門家で内閣を作るだのの話し合いを重ねるも空回りが続き、最近まで政府が確定しないという異常事態が続いていました。

学者っぽすぎてイマイチ親近感がわかないクラウス大統領と違って実業家タイプのパロウベク元首相、首がない(笑)ところをのぞけば話し方なんかも落ち着いていて、特にキライな政治家とかではないものの、先の膠着状態の責任は彼のだだこねなんじゃないかと有権者が思い始めたあたりが、今回の負けの伏線だった気がします。
結局クラウス大統領も口を出してきてやっと新内閣が決まった矢先、今回の選挙のちょっと前に発覚した彼の右腕だった秘書のスキャンダル(モラヴィアのお城の建て替えでEUから余計にお金をもらおうとした疑惑)が大きなダメージになったことは否定できません。トポラーネク首相よりは、いろいろとかまわれている(?)首相だったのですけれど。。。たとえば、

こんなのも。。。

でもなかなか話し合いのテーブルについてくれず、内閣が決まらなかったときはトポラーネクさんもイヤになったのか、同じODSのプラハ市長、ベームさんに「ODSの首相やらない?」と提案して(笑)断られています。

こんなときのご意見番(?)、70歳の誕生日を最近プラハでお祝いしたハヴェル元大統領は4ヶ月のアメリカ留学に行ってしまったし。。。
とりあえず今週末の決戦投票の結果が確定するのを見守ることにします。