聖ミクラーシュ(=ニコラス)がくれるクリスマスのお楽しみ

子供の頃本気でほしかったお菓子の家


しばらくサボってる間にプラハはすっかりクリスマスモードに。アドヴェントの最初の日曜日が本格的なクリスマスシーズンの始まりで、旧市街広場など市内の主な広場にはクリスマス市(Vánoční trhy)がたちます。

旧市街広場のティーン教会の前にも大きなクリスマスツリー。

飼い馬桶に寝かされた幼子イエスを見守るヨゼフとマリア、イエスの誕生を祝うために東方からやってくる三博士が揃ったクリスマス物語のハイライトシーンである“ベトレム(Betlém)"は木彫り。去年はなかった気がします。

そして…

ホントに住めそうなお菓子のおうち! 雨戸のあたりが美味しそうだ〜。

旧市街広場からヴルタヴァ川へと続くアール・ヌーヴォー建築の宝庫、パリ通り(Pařížká ulice)のイルミネーションはプラハで一番華やかな装い。

道ゆく人たちもはなやいだ感じ。でも前日の12月5日の夜はちょっと変わったコスプレの人たちに出会います。

天使と右が聖ミクラーシュ。12月6日は聖ミクラーシュ(Svatý Mikuláš)の日。チェコ語ではミクラーシュですが、英語圏だとニコラス(Nicholas)。

このカトリックの聖人の伝説は3世紀後半のトルコにさかのぼります。ミラという街の司教だった彼は、様々な伝説をもっていて、子供や女性、はたまた海の守護聖人というキャラクター。でもいつも贈り物と関係が深く、サンタクロースの、そしてクリスマスの贈り物の習慣の起源になった興味深い聖人なのです。

聖ミクラーシュはどんな人だったんだろうとチェコ語のページを調べていたのだけど、日本語でとてもよくまとめている卒業論文のページを発見したので貼っておきます。
http://www.kt.rim.or.jp/~igeta/gr00/ms/02.html

この聖ミクラーシュにちなんで、子供たちがこの日楽しみにしているのはミクラーシュからもらうお菓子。1年間いい子にしていた子だけがもらえます。

一方悪い子はといえば…悪魔(čert=チェルト)から炭をもらいます(トホホ…)。じゃがいもをもらう、という説もあり。

周りのチェコ人に「炭やじゃがいも、もらったことある?」と聞くと、たいてい「冗談で1度もらったことがあるよ」などという答えが返ってくるとこをみると、悪い子も(笑)ちゃっかりお菓子をもらってるようです。

この日のために、家や学校に聖ミクラーシュとお菓子の籠を持った御付きの天使、悪魔に扮した若者たちを派遣してくれるサービスがあります。街中の掲示板などを注意してみてみると、“ミクラーシュ承ります”みたいな広告が11月下旬ぐらいから出回ります。

天使は白っぽいストンとしたかぶりものに思い思いの羽を生やし、悪魔は全体的に黒っぽい衣装で頭に赤い角が2本、顔は煤で汚すのがお約束。聖ミクラーシュは十字架の入ったコックさんのような高い帽子と杖、といった感じ。この日の夜中、無事お役目を果たした天使役の女の子がトラムで家に帰る途中に出くわしました。羽をつけたままからっぽの籠をかかえて。。。

この聖ミクラーシュの習慣はドイツからチェコに伝えられたそうですが、既に10世紀以上も続いているのだとか。イギリスやフランスではあまり祝われないのにオランダでは盛ん、とヨーロッパ内でもその伝わり方とカトリックプロテスタントの歴史の絡み合いが影響しているようで興味をそそります。

子供のみならず、聖ミクラーシュは独身女性の強い味方でもあるそう。この日(12月6日)に結婚すると幸せになる、という言い伝えもあるぐらい(早く言ってよね…)。

どっちかと問われれば悪い子に間違いない私も、聖ミクラーシュは見捨てませんでした。

旦那ママがくれたかわいらしい陶器の雪だるまとサクサクの釣鐘クッキー、そして実家の父が送ってくれた雑誌二冊。プラハ特集の『フィガロ』と『旅』。こうして雑誌の中で見ると、ものすご〜くステキな街なのですよ、これが(笑)。ウソではもちろんないけれど(住むのはまた別のハナシというもの)!


みなさま、よいクリスマスをお迎えください。