チェコのスーパーマーケット事情〜デルヴィタの場合〜

これが目印!


ビラ(Billa)、アルベルト(Albert)、テスコ(Tesco)…とチェコにあるいろんなスーパーマーケットのなかで、おそらく在住日本人に一番人気と思われるライオンマークでおなじみのデルヴィタ(Delvita)。

お菓子作りが得意な友達のひとりがクリスマス前のここでしか買えないジンジャークッキーにはまり、仲間みんなに配ってくれたり、日本へ帰るときのおみやげにも大量に買っていたし、ひょんな出会いから仲良くなってクリスマス前にウチに遊びにきてくれた駐在奥様たちにも人気のようで、袋いっぱい、デルヴィタグルメを詰めて持ってきてくれたり。。。朝7時〜夜21時まで、土日もやってるデルヴィタ(営業時間は各店舗、曜日により若干違う)は普段のお買物にも欠かせない存在。


まだもったいなくて食べてないんだけど(笑)、焼き鳥なんかもあります。異国の地で手に入る日本食情報は貴重。

冷凍お寿司も売ってます! これが…意外や食べられるシロモノ(あくまで海のないチェコでたま〜に食べる非常食として…笑)。




お菓子もなかなかおいしい。私のお気に入りのバタークッキーと頂いたチョコレートのお菓子。

それなのに。。。


経営不振で撤退を余儀なくされ、チェコから消えようとしているデルヴィタ。。。

1867年にベルギーはブラッセルにDelhaze(フランス語読みだとデルアーズかな?)さんが始めた小さい食料品の店は、順調に成長を続け、1957年にヨーロッパ大陸で初めてのスーパーマーケットとして注目を浴びます。

19世紀に端を発するデルヴィタの歴史も載ってるサイト(チェコ語のみ)http://www.delvita.cz/

70年代半ばにアメリカにも進出、80年代には“Food Lion”として急激に店舗を増やし、プラハチェコ第1号デルヴィタができたのがビロード革命後まもない91年。98年にはスロヴァキアへも進出。2002年、ちょっとおしゃれなコンセプトのデルヴィタ・シティが誕生、2003年、2004年と2年連続で“Supermarket roku”賞を受賞(その年の優秀スーパーマーケット賞、みたいな感じの賞)、おととしは“nejoblíbenější obchodník roku”(2005年お気に入りのお店賞、みたいな感じ)をもらうなど順風満帆にみえました。

でも去年の赤字は約25億コルナ(140億円ぐらい)と身売りせざるを得ない状況に。そして11月ぐらいに、ドイツのReweという会社がデルヴィタを約28億コルナで買収というニュースが入ってきました。このReweは、チェコでBillaというスーパーマーケットを展開している会社。

今後のデルヴィタの運命はといえば。。。去年12月13日のMF Dnesの記事によると、チェコ国内にある96のデルヴィタのうち、3分の1は閉めるか売り払われるかという状況にあるといいます。買収したはいいけれど、Billaだって余裕があるわけではないから。

プラハ市内の比較的中心にあるデルヴィタに関しては、そのほとんどが今後2年ぐらいをめどにBillaに移行する(つまり店舗としては温存される)計画らしいのですが、問題は郊外や地方。例えばもともとのBillaと、BillaになろうとしてるDelvitaが近くにある地域などは当然どちらかよい場所のほうに統一されるべく、立地条件や売り上げ状況などを現在調査中とのこと。

それでもどうにももてあまし気味の3分の1の店舗を食料品販売じゃない、たとえばドラッグストアとか電気量販店などへ売ることも考えているとか。でも現実にはデルヴィタの店舗はドラッグストアには広すぎるなどの問題もあって、一筋縄ではいかないようです。

デルヴィタの赤字の原因として、これはデルヴィタに限らないけれど大型ショッピングセンターの林立にともない少ないパイを奪われていること、人件費が他に比べて高くついた(従業員数が多いらしい)こと、そして何よりグルメの国、ベルギーからこのチェコ市場に“よりおいしいもの”を根付かせようとしたものの、消費者からは“値段が高いスーパー”と見られ、そんな評価を挽回しようと経営の方向が定まらなかったこと、などがあげられています。

デルヴィタの前には、カルフール(フランス)やマイヌル(オーストリア)といったスーパーも撤退しましたし、民主化でわぁっとチェコ市場にやってきたものの、同業者も多く、野菜や果物に関してはヴェトナム人経営の八百屋のほうが競争力あり、と考えていたより厳しい状況。一方消費者側からしたら、物価はどんどんあがれど給料はなかなか上がらず、年金生活者や失業率の高い地方などでは“昔(つまり共産党政権時代)のほうがよかった”などと言う人も根強くいるチェコ、まだまだ多くの人にとって美味しいものに対価を払う、という感覚は難しいのだと感じます。


チェコで“プッチン”ができると教えてもらったデルヴィタ・プリン、食べられるのもあとわずかか。。。