リラの花咲く頃

口笛ふいてお散歩したい季節


ここのところプラハは、日中の気温が25度以上という、春を通り越して夏が来たかのようなお天気が続いています。

だいぶご無沙汰してしまいましたが、時々のぞいてくださっていた方、ごめんなさい。


日本では北海道以外あまり見られないライラックの花で街中本当に華やか。

薄紫、濃い紫、そして白いのもあるいい匂いのこの花が咲くと長くて暗い冬がやっと去ったなぁと実感します。

緑が深くなったレトナーの丘にも、ライラックがところどころ群生していて圧巻。

このライラックプラハに来るまで実物をちゃんと見たことがなかった私。ライラックと言えば、漫画『キャンディ・キャンディ』でキャンディがアップルパイに庭のライラックを添えたアイデアをあのイライザが横取りしてエルロイ大おば様に褒められるという、腹立たしいシーンが思い出されます。人生で初めてインプットされたライラックの記憶が多分これなので、実物を見てもついついこのシーンがフラッシュ・バックするのでしょう。この貧弱な発想を考えるに、小さい頃や多感な時代に美しい自然に身近に接する大事さというのを本能的に感じます。手遅れですけれども。。。
パイに添えるのかどうかはわかりませんが、この時期、どっかからちょっと失敬してきた小さなライラックの花束を抱えた女性をよく見かけます。

今日はプラハ6区の高級住宅地であるオジェホフカ(Ořechovka)へ映画を見に行ったついでに付近をお散歩。紫のほうが主流だけれど、夕暮れに映える白いライラックも気品があります。

ライラックチェコ語では、šeřík(シェジーク)またはbez(ベス)と言います。が、どうして同じものを指す言葉が全然違うの?と旦那に質問するも、「外国人を毛唐とかガイジンとか言うでしょ、それと同じ」という説明が…。外国人と毛唐とガイジンはニュアンスが違うし、使用方法も絶対違うのに…外国語が達者なのと、ちゃんと人に教えられるのとは、全くワケが違うと改めて思います。

さて、このオジェホフカというエリア、プラハ城と空港へ続くエブロプスカー通りの間にある一地区なのですが、お洒落で面白い建築が多く、散歩が楽しいところ。オランダ風の煉瓦の建物がレトロな映画館は、椅子もギィギィ言う年代モノですが、パラーツシネマの味気ないインテリアよりずっと居心地いい古きよき映画館。

映画やドラマの撮影も多いという、英国風建築が並ぶ映画館そばの通り。

カシュタン(kaštan)の花もすっかり満開です。

このカシュタン、青空ホスポダのあるところ必ずといっていいほど植えられているのは、虫除けに最適な木だからなんだそう。秋には栗そっくりの実をつけますが、人間は食べれず馬などの飼料に使われます。

このオジェホフカの中心にある緑美しいマハ広場(Mácharovo náměstí)も、咲き乱れる様々な花に陽光が輝く今が一番いい季節。


それもそのはず、この広場の名前は、チェコ人なら学校で習って誰でも知っている、5月の自然の美しさと春の喜びをうたった詩『Máj』の作者Máchaにちなんで付けられています。

名前がわからないけれど、通りをうんと明るくしているピンクの花を付けた木。

近所に住んでるヴァーツラフ・ハヴェル元大統領も常連という、映画館そばの青空ホスポダで一休みしていると、ここで2次会をしていた新郎新婦が。ホスポダで結婚パーティ、チェコではよく見かけます。

公園脇の歩道をピンクの絨毯のごとく埋めていた、そのひとかけら。

でも花より団子?美味だったローストビーフ、99kč(約600円)。安い!

横浜のドルフィンではソーダ水ごしに貨物船が過ぎるのを眺め(byユーミン)、ここプラハでは、青空ホスポダでグラスごしに素晴らしい建築と花々を眺める…郷に入れば郷に従えです(従えないときもありますが。。。せめてこれぐらいは)。

これからますます日が長くなります。