それでも新しい年はあける。

お父さんが大好きだった


クリスマスのことも書かないまま、年が明けてしまいましたが、みなさまお元気でしょうか。
去年のクリスマス前にあまりにも悲しいことが起こったので、ってこんな本来おめでとうを言うべき時期に全くそぐわないのですが、大事な家族の一員だった九官鳥を亡くしたので、何も力がわきませんでした。
しばらくずっと仕事か何か人前でしなくちゃいけない時は、操り人形のように何かが自分を動かしていた感じです。
まだ当分涙なしに見れないけれど、日本から一緒に来てずっと私を支えてくれていたので(これからもそうだと思うけれど)、思いっきり個人的なコトですが私のプラハチェコ日記としてここに少しだけでも写真を残しておこうと。。。


手の上でゆったりくつろぎ始めると、腰を落ち着けて座るのが常でした。ふわふわで柔らかくて、けっこう重くて、そしてとても暖かい。


PCに向かってるときは、PCのわずか1cmのヘリに上手にバランスをとって観察していました。


特に大好きだったお父さんの手。
また悲しくなるのでもうこのへんで(って書かなきゃいいんだろうけど、どうにも前に進めないので)。
一緒にしゃべったり遊んだり、好物の果物くださったり面倒見てくれたりした方々、本当にありがとうございました。

この悲しい話だけでアップしたくないだけのために(笑)、とってつけたようですがチェコの新年についても少し書きます。クリスマスもそうですが、3回目ともなると、いやはや…毎年変わり映えなく、大晦日の大騒ぎ→シャンペンか何かのお酒&カウントダウン→割られた瓶とゴミのおぞましい街(笑)→新年の花火、とまぁこんな感じ。

で1月1日は毎年恒例の大統領の年頭所感演説(Novoroční projev prezidenta české republiky)が午後1時からチェスカー・テレヴィゼ(チェコNHKみたいな放送局)であり、10〜20分の短い演説ながら、この1年のチェコの出来事(特に政治経済)をダイジェスト的に知るにはいい機会です。

プラハ城大統領執務室にて語るヴァーツラフ・クラウス(Václav Klaus)大統領の動画Česká Televizeも見れます(チェコ語)。
そしてチェコ語を勉強してる方には便利な、この演説のテキストはクラウス大統領のサイトで。テキストを見ながら聞けばよい勉強になるかも。英語での解説はここからどうぞ。

今年は2008年ということで、チェコの20世紀における歴史的ターニング・ポイントになった“***8”年に起こった出来事を振り返りながら、その歴史の結果である現在において、今後どうあるべきかを大統領として提案するという、なかなか洒落た構成でした。つまり、1918年(オーストリアハンガリー帝国からのチェコスロヴァキア独立)、1938年(ナチスの支配が始まったことにより先のいわゆる第一共和国が終わらざるを得なくなった年)、1948年2月の共産党勝利、そして1968年のプラハの春…。ビロード革命は1989年なのでこの8シリーズに列せられなかったものの、今年ならではの導入で国民をひきつけました。

もっとも野党(ČSSDのパロウベクさんとか)には中味がないなどと批判もされてましたが、演説として悪くはなかったんじゃないかなと個人的に思いました。内容に全部賛成はできないにしても。。。

今回はクラウス大統領の今任期最後の演説(つまり5回目にあたる)だったので、この5年を振り返りつつ、チェコはまだ目に見える問題もたくさんあるけれども、今までにない素晴らしい時代を体験している(特に好調な経済)のではないかと語りました。エネルギー関連、食料品などのインフレの懸念という曇り部分はあれど、近年の順調な経済成長は成功と言えるのではと、とても楽観的な意見でした。

演説の中でチェココルナが強すぎることにも少し触れていましたが、いやはやホントに強いのです。対ユーロは少し前までは1ユーロ=30コルナで計算していたはずが今や25とか26コルナ。対日本円も1コルナ6.3円ぐらいをウロウロしています。インフレに関しても食料品やガソリン、ガス、電気などに限らず、今年からトラムの20kč(乗り換え可のチケット)は26kčに(ということは30%の値上げ、観光客が主なターゲットの1日乗車券の類も軒並み値上がり)、最低郵便料金は7.5kč→10kčに、税金にしても保険がカバーする診察・薬代にしても、まぁ値上がらないものを探すほうが難しいんでは?という気になります。

同時進行でお給料も上がれば問題ないのかもしれませんが、こっちの値上がりはそうスムーズにいかず。さらに不動産もどんどん値上がっていて、安定を守るため今まで家主に家賃の値上げが法律で制限されてきましたが、2010年の後はどうなるかわからず、大幅な値上げが予想されます。で今から郊外に引越しを考え始めてる人も多いとか。

全般的に見渡して値段は西欧なみなのに、サービスの質が全然追いついてないんだけど。。。というのが私の正直な感想。このことに自覚的なチェコ人はもちろんいるけれど、社会全体の印象が変わるほどの多数派とはいえないかも。

ガイドブックに出ている様々な入場料だとかの値段が、最新版でももう古くなってしまってる、ということがここ数年は頻繁に起こりそうです。ベルギー人のクラスメートが、ユーロ導入のときに物価が2倍ぐらいあがったという印象だったと前に話していました。チェコも2012年より後になる見通しですが、そう遠くない将来ユーロ圏になることは間違いないでしょうから、もう東欧の安い国、というイメージは払拭しなければならない時代に入ったのでしょう。

今年2月8日から大統領選挙が始まり、再選を目指す現大統領と60年代にアメリカに亡命したミシガン大学の経済の教授Jan Švejnar候補が争います。Švejnar氏はチェコ人とはいえ長くチェコに住んでないこともあって、圧倒的にクラウス現大統領が有利と言われていますが。。。

先月21日には念願のシェンゲン条約も発効されて、実質的にシェンゲン加盟国間の国境でチェコ人はパスポート提示の義務がなくなりました。EU加盟時のときにも増して喜んでこの話をしているチェコ人を多く見かけましたが、例えばお隣のオーストリア国民の大半は、犯罪者も簡単に入国できるとしてこれを歓迎していない、というニュースも聞きました。2008年の今年がチェコの歴史の“***8”年として大きな変化があるとするなら、よい方向へと願っています。

みなさんの2008年も記憶に残る素晴らしい年になりますように。