クラウス大統領再選…そしてタコ“chobotnice"は途方に暮れる

タコは再びどこへ行く?


風がめっきり冷たい最近のプラハで、ほかほかの笑みを浮かべているのは15日の金曜日、チェコ大統領に再選されたヴァーツラフ・クラウス(Václav Klaus)大統領。ギリギリ過半数の141得票で、向こう5年、最後の大統領任期を担うことになりました。

スロヴァンスキー・ドゥーム(Slovanský dům)内のKogoレストランでワインでお祝い(ODS=市民民主党と大統領で割り勘)したんだとか。

本題はコレじゃない(キッパリ)んだけど、2月8日から始まったチェコの大統領選のしくみを少し。立候補は40歳以上のチェコの選挙権ある人なら誰でも可なのですが、選ぶのは上下両院議員。つまり間接選挙です。今回は再選を果たしたヴァーツラフ・クラウス氏、ČSSD(社会民主党)や緑の党が推したミシガン大学の経済の教授、ヤン・シュヴェイナル(Jan Švejnar)氏(55)との一騎打ちでした。

ギリギリまで「どっちにしようかな〜」をやってた共産党(KSČM)はEU議会のヤナ・ボボシーコヴァー(Jana Bobošíková)さんを担ぎだしたものの、直前で彼女が辞退、で結局前出の2人で争われました。

選挙は3段階に分かれていて、まずは上院(定員81)下院(定員200)それぞれで議席数の過半数をとった候補者がいれば勝ち。いなければ第2ステップへ続きます。それぞれの院で最多得票した人を選出して、もう一度投票。上下院別にカウントしてどちらも出席者の過半数の票をゲットした候補者がいれば、その人の勝ち。いない場合は第3ステップへ。今度は上下院合わせて出席者の過半数を得票した人が勝ち。この3ステップ目でも決着を見ない場合は、また最初からやり直します。で選挙初日の8日には決まらず、15日まで持ち越したというわけです。

クラウス有利といわれ続けた(そして最終的にやっぱり勝った)今回の選挙、それでもシュヴェイナルさんも最後追い上げ、けっこう頑張りました。選挙直前に近所の映画館へ来たシュヴェイナルさんに市民があれこれ質問する、という会があり、のぞいてみたら。。。

普段常にガラガラの映画館が満席。

レポート用紙に質問事項をきっちりまとめてきたあっぱれなご老人も。どこかの先生風でした。



シュヴェイナルさんを推していた緑の党マルティン・ブルシーク(Martin Bursík)氏も来てました(上記写真左)。で、彼と話してるおじさん、どっかで見たと思ったら、ラドゥーザRadůzaのコンサートで後ろに座ってたおじさん! とうとうとラドゥーザがいかに素晴らしい歌手かを私に説明してくれた(CDパンフにも書いた違法ロックコンサートで逮捕されたそのおじさん)ご本人でした。こんなところで再会するとは。

毎度ボケボケ写真ですみませんが、ひとつひとつ丁寧に受け答えするシュヴェイナル氏、とても感じのいい人でした。「共産党政権がイヤで亡命(シュヴェイナルさんはアメリカに亡命、アメリカ国籍を持っているチェコ人)したのに、選挙だからって共産党の支持を仰ぐのはどうなんでしょう?」というような質問も文字通り面と向かってするチェコの人たち。なかなか活発な質疑応答が繰り広げられていました。

誠実に答えてはいるんですが、旦那はじめ、何人かチェコ人に聞いてみると、亡命して成功した同胞には何かと冷たい気がするここの人たちから、やはりイマイチ信頼されてる候補者とは言えなかったような。最初の亡命は彼がまだ10代の頃の話だから、彼に責任があるかどうかは疑問ですが、ヴァーツラフ・ハヴェル(Václav Havel)大統領の時代には彼はブレインの1人としてチェコにいたのに、その後またアメリカへ戻ってしまったことも大きいみたいです。“彼は2度チェコを捨てた”と表現する人も。。。今回の選挙まで名前を知らなかった人(私も含め)も多かったでしょうし。

今年1月末日から公開されているハヴェル元大統領を追っかけたドキュメンタリー映画、「Občan Havel」(市民ハヴェル)にもシュヴェイナル氏は登場してます。あ、もちろんクラウス大統領も登場していますよ。わりと重要な役どころで(笑)。でも感想はまぁまぁ、というところ。期待が大きすぎたのかも。旦那は「ちょうどこの大統領選の前に公開だなんて、ちょっとやりすぎ(映画の内容も含めて、クラウス氏に対して、の意味)なんじゃ…」と言ってましたが、ベルリン映画祭へ出品するスケジュールの都合もあったのでしょう、きっと。

で本題の“chobotnice”の危機その後、の話。以前書いたとおり、残念ながら建設はペンディング中。ウンプルムなどが中心になって「レトナーLetnáにホボトニツェ(=タコに似てる新図書館デザインの愛称)を!」の嘆願書まで作られたのですが、すっかり暗礁に乗り上げています。もうこれには強力に大反対!なクラウス大統領が再選されてしまったからには、ますます実現は遠のく一方。こっちのほうがハッキリ言ってプラハの将来に関わる問題だと思います。

昨日ルツェルナ・ミュージック・バーLucerna music barで急遽、Chobotniceをレトナーへ!のコンサートが開かれることになり、支持するミュージシャンたちが集いました。入場料は50kčぽっきりだから全くボランティア出演。でもなかなかに豪華メンバーでした。

たくさんミュージシャンが出演したので、紹介はまた別の機会に。で、もちろんこの人が登場!

生カプリツキー(Jan Kaplický)さんを間近で見れて嬉しかった〜! だって長身ですっごくカッコイイんですもの(ポッ)。

毎年56,000冊も蔵書が増えているという国立図書館、館長のヴラスティミル・イェジェック(Vlastimil Ježek)氏は全くはじめっからコンペティションをやり直すことも検討し始めたという話ですが、カプリツキーさんのタコ図書館は向こう50年困らない(地下を最大限活用する)設計、それなのにお目当ての本が3分で探し出せるのだとか。


ミュージシャンやスタッフ、お客さんの多くも着てたこのホボトニツェTシャツが超カワイイ。

もちろん私もゲット(300kč)しました♪ キュビズムTシャツとともにお気に入り。幻とならないことを切に祈るばかりです。