黄金に輝くビールとお気に入りチェコ料理

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ほんとうにいつでもどこでも飲んでいるチェコ人。フランス人におけるカフェのごとく、たいていのチェコ人は各自こだわりのビールが飲めるいきつけのビアホールを持っています。ご飯をさっと食べた後はつまみも食べず延々と政治の話を冗談と皮肉たっぷりに話しながら、次々おかわりする。
"Prague Restaurant, Pubs and Cafes"という面白い本があるのですが、そこには「本当にあなたがプラハっ子、もしくはチェコ人を理解しようと思ったら、一緒にビアホールへ行かなければならない」とあります。ビアホールはチェコ人の第二の居間とも言われています。観察してると確かにそんな感じです。
お店の人もグラスが空くと、Jeste jedno?(イェスチェ、イェドノ?=もう一杯いかがですか?)とタイミングよく聞きにくる。それもそのはずチェコは一人当たりのビール消費量11年連続世界1位の国なんです。日本人の約3倍だそう。(キリンビールのサイトより)http://www.kirin.co.jp/company/news/01/15/041216_4.html
日本酒党の私もここでは日本酒はめったに手に入らないので(あっても高い)、ビールを飲んでいます。私の好きなのはクルショビツェ(Krusovice)という銘柄ですが、専門家に言わせるとこれはドイツっぽい製法なのだとか。あとピルスナー・ウルケル(Pilsner Urquell)も水よりもなめらかにすぅーっと喉を滑り落ちる感じがたまらなくおいしい。
そのほかガンブリヌス(Gambrinus)、スタロプラメン(Staropramen)、ブディェヨヴィツキー・ブドヴァル(Budejovicky Budvar、バドワイザーの名前の元祖と言われている)などがプラハでよく見かける銘柄。お店の入口やオープンスペースのテント部分なんかでどの銘柄のビールが飲めるかがわかります。ひとつの店で2〜3種類飲めるところもあります。いろいろ味比べしてみるのも楽しい。入れかたも重要だそうで、「あそこのピルスナー・ウルケルよりこっちの店のほうがうまい」などと大真面目に語る人の多いこと。
比較的暖かかった今日は散歩帰りに有名なウ・ピンカスーhttp://www.upinkasu.cz という居酒屋へ行きました。1843年(江戸時代!)にできたというこの魅力的なプラハ初のピルスナービールレストラン、雪の聖母教会の裏手、ヴァーツラフ広場からすぐのユングマン広場にあります。ここにはキュビズムの有名な街灯があって、ウ・ピンカスーに来たらここも見逃すなかれ。

右上の写真は私が頼んだスヴィーチコヴァー(Svickova)というチェコの古きよき一皿。牛肉をやわらか〜く煮込んだものに生クリームたっぷりのブラウンソース、クランベリーとレモンが添えられています。それにクネドリーキという蒸しパンのようなダンプリングをソースとからめていただきます。酸味がアクセントになって見た目よりも重くないです。善良な兵士シュヴェイクで有名なウ・カリハhttp://www.ukalicha.cz/(ここで売ってるジュヴェイクグッズはお気に入り。おみやげにもぴったり)でも食べましたが、そちらよりさっぱりしている。他にも19世紀からのレシピによるグヤーシュやローストポーク、鴨料理などもおいしそう。

前出の本によるとここはカルメル会修道院ゴシック建築の一部をセラーにしていて、そのおかげでビールの味が“ミステリアス”になるんだとか。旦那は「ウ・ルドルフィナ(U Rudolfina、旧市街のカレル橋そば、コンセルヴァトワールの前にある。住所:Krizovnicka 10, Praha 1)のビールのほうが好き…」と言っていましたけど。
でもバロックの入口はじめ、高い建物に囲まれた独特の中庭にも席があり、飾ってある写真などインテリアも面白い。
その昔、イジー・メンツェル(Jiri MENZEL)監督作品の『つながれたヒバリ』(Skrivanci na nitich,1969)の原作者で有名な小説家、ボフミル・フラバル(Bohumil HRABAL)が通っていたことでも有名。http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=14930#AwardLabel

まだまだおすすめはあるのですが、酔いがまわってきたのでこのへんで。これは好きな銘柄と現在地に近い広場を選んで、近場のおすすめビアホールを紹介してくれるサイト。http://www.praguepubs.co.uk/