聖トマーシュ教会の黒ビール

聖トマーシュ教会の外観

※現在、このホスポダ(居酒屋)は休業中(無期限?)ですのでご注意!

地下鉄のマロストランスカー駅からトラムで一駅、マラーストラナ広場(小地区広場)へと向かう細い道(Letenská/レテンスカー通り)沿いの右側に、1352年からやっているという古い修道院のビアホールがある(右写真)。
ウ・スヴァテーホ・トマーシェ(U Svatého Tomáše)、聖トマーシュ教会である。http://pivovary.zmz.cz/pp/ptomas/ptomas.htm
黒ビールを飲ませるところは他にも有名なところでウ・フレクーなどがあるが(8月17日の日記参照)、ここは旦那が高校生(※チェコではお酒は18歳からです!)のときに毎週来ていたというし、トラムで通るたびに、この右側の高い塀の向こうは何があるんだろう?といつも思っていたので旦那を誘って行ってみた。この塀の向こうは孔雀が自由にお散歩しているヴァルドシュテインスカー・ザフラダ(Valdštejnská zahrada)という公園。ここを少し歩いてから、お目当てのビアホールへ。

ン十年ぶりに訪れたという旦那、懐かしそうにしていたが雰囲気はだいぶ変わったという。以前は地元の常連でいっぱいだったらしいが、今は週末でも広い店内は余裕がある。いつのまにか地元の人は少なくなり、観光客のグループが頻繁に訪れるビアホールになっているようだ。生バンドの演奏もある。でも黒ビールを味わってみると、黒ビール特有の豆くさいところはなくマイルドでとてもおいしい。黒ビールが好きな向きにはおすすめの店である。

この生卵がのっかってるのはタタルスキー・ステーキ(tatarský biftek)といって生の肉をたたいたもの。お皿の上で、この卵と周りにある香辛料、そしてお肉をビビンパみたいによく混ぜて、カリカリにあげたトーストににんにくをたっぷり塗ったものにカナッペのようにのせていただく。
初めて見たとき、「うっ。こんな生肉を食べるなんて…」と思ったものの、居合わせたチェコ人が「ceská sushi!(チェコ版お寿司だね!)」なんて陽気に言うから、ま、それもそうかな、と思い直して食べたことが。それでもやっぱり全部はムリだった。なんだかライオンになった気分で。。。でもチェコ人は大好き。大勢揃ったときはためしにオーダーしてみては?
今回も途中で旦那にあげてしまったので、デザートにうつることに。甘いものは別腹、とはいえ、チェコの料理はボリュームがあるので、どっちかに的をしぼらないと食べれない。

紅茶とラズベリーのパフェをオーダーした。アイスクリームや生クリームの上に、温かいラズベリーたっぷりのソースがかかっていて、私の大好きなデザート。ラズベリーは市場で買ってきて生で食べてみるとちょっと酸っぱいけれど、こうして食べるとちょうどいい酸味。デザートメニューのところでmaliny(マリニー→ラズベリーという意味のチェコ語)と書いてある一皿を探してみてください。パラチンキ(palačinky)という名前のクレープにかかっているのもよく見る。アイスクリーム天ぷらのごとく冷たあたたかい?味がクセになる一品。下の写真は市場で買った生ラズベリー。大粒だということをわかってもらいたいがためにマッチ棒を置いてみました(笑)。

さてこのビアホール、もう三年ほど前になくなられたがチェコ語の訳書やチェコに関する本を多数書いていらっしゃる千野栄一先生の楽しいエッセイ『ビールと古本のプラハ』(白水Uブックス)にも登場する。千野先生が連れて案内してくれるという何とも贅沢な?旅行の企画で訪れたとある。今は観光客が多いとはいえ、料理もおいしいし、14世紀の修道院の建物内でおいしいビールを飲めるという価値はある。旦那は「なんだかディズニーランドになったみたいで寂しい…」と当時の旧友にメール(笑)していたが。。。
前出の本に、この聖トマーシュ教会のビアホールから、先生も常連だったというウ・ズラテーホ・ティグラ(U zlatého tygra)、黄金の虎、という名の有名な(クリントン元大統領とハヴェル元大統領も訪れた)ビアホールへとはしごするくだりがあるが、最近友達と行ったという旦那は、「ここも観光化されてしまい、特別においしいとは思わなかった」そうである。私は残念ながらまだ行ったことがないから何とも言えないけれど、やっぱり一番おいしいという人もいるし。。。
ちなみにもしここへ行ったら試してみたいビールがある。フラディンカ(hladinka)という泡だけのビール!

チェコの生ビールの泡はとってもクリーミーで、入れ方に細心の注意を払っているのがよくわかる。チェコ人にもこの泡のファンがいて、すべてのビアホールで出してはくれないようだけど、「黄金の虎」のフラディンカは有名だそうである。ただし早めに訪れないと席はないけれど。http://www.uzlatehotygra.cz/uvod_e.htm