チェコのクリスマス“Vánoce(ヴァーノツェ)”のあれこれ その2★クリスマス当日篇★

20キロの大物鯉


皆様あけましておめでとうございます。
クリスマス篇その2、のタイトルなんですが、もたもたしてるうちに2006年になってしまったので。。。チェコではクリスマスと新年の挨拶は一緒にしてしまいますからね(都合のいい言い訳)。
“Veselé Vánoce a št'astný nový rok!"(ヴェセレー・ヴァーノツェ、ア・シュチャストゥニー・ノヴィー・ロック=楽しいクリスマス、そして幸せな新年を!の意)と一般的には言いますが、チェコ人からもらったメールなどはみな個性あふれる挨拶を工夫していました。

さて、今回はクリスマス当日に食べる料理についてご紹介します。
チェコのクリスマス料理といえば鯉のフライ(smažený kapr=スマジェニー・カプル)とじゃがいもサラダ(bramborový salát=ブランボロヴィー・サラートゥ)と相場が決まっております。今年はじめて義母と一緒に作ってみました。

チェコ人にも鯉が苦手な人がいて、鯉の代わりに違う魚(白身魚)を使う人もいます。
クリスマス1週間前になると街のあちこちで生簀に鯉が泳いでる屋台を見かけます。ここで生きたまま鯉を買い、自宅の浴槽で料理する当日まで飼い、自分でしめる人もいれば、情が移ってヴルタヴァ川に放流してしまう人もいるとか。旦那は小さい頃、クリスマスまで浴槽の鯉と遊んでいた、と言います。名前なんか付けちゃったりしたらしめられなくなるんでしょうか。
自分でしめるのがちょっと、という人も大丈夫、この屋台で鱗(うろこ)取りまでしてくれます。頭と内臓部分はスープ(Vánocní rybi polévka)に使うので、まずはこの部分を胴体と切り分け、お腹部分に包丁を入れ内臓を取りのぞきます。少々グロテスクですが鯉料理に挑戦という方のために。

胴体から尻尾までは5センチ間隔で写真のように切り分けます。

これにまんべんなく塩こしょうして1日寝かせます。ですから遅くとも23日にはこの作業に取り掛からないとならないわけです。翌日、衣(小麦粉→溶き卵→ロフリークのパン粉)を付けて170度で10分強、こんがりと狐色になるまで揚げます。
頭と内臓は、人参、セロリひとかけと一緒に鍋に入れて出汁を取ります。煮立ったら中身を取り出してできたスープを漉して骨などを取り除きます。頭の部分の魚肉をフォークなどでかき出してスープに加え、小麦粉大さじ1したら軽くミキサーにかけます。ご覧の通りのドブ色ですが、普段はお肉料理が多いこちらでは、ごちそう!と思える珍味です。
鯉1匹分の頭と内臓で2〜3人分ぐらいのスープができました。ここまでを前日に調理し、冷蔵庫で1日置きます。翌日、鍋にバター少々を熱してスープを戻して温め、にんにく、白ワイン少々、とき卵(鯉のフライを作る時余った卵を入れた)も加え、味をみて塩こしょうしたら完了。生クリームを入れる人も。
鯉は骨がとても硬くて厚く、切り分けるのに一苦労。専用の強力な包丁を用意したほうがいいです。この間にじゃがいもサラダに使うじゃがいもと人参、卵を茹でておきましょう。材料は他にピクルス、グリーンピース、ハム(ソーセージのような)、りんご少々で、すべて7ミリ角ぐらいの立方体に切り揃えます。

これにマスタード、マヨネーズで和え、味を見ながら塩こしょうします。

鯉の生臭さが気になる人もレモンを絞ればおいしくいただけます。細かい骨が多いので食べるときに注意が必要(日本のお正月のお餅と一緒で、毎年喉に骨がつっかかって病院に運ばれる人がいるらしい)ですが、味はさっぱりしていて日本人好みなのではと思います。

もうひとつ、きのこと大麦を使う典型的なクリスマスのメニュー、houbový kuba(ホウボヴィー・クバ)のレシピを。これが完成図。

味はにんにくが効いたきのこチャーハンみたいな感じ。材料は大麦(krupky)、乾燥きのこ、たまねぎ少々、にんにく、ラード(sadlo)、クミン、マジョーラム、塩こしょう。
まず乾燥きのこと大麦をそれぞれ水につけておきます。この間にたまねぎをみじん切りにしてラードを熱したフライパンで炒めます。鍋でお米を炊く要領で、水を足し、大麦を火にかけ、柔らかくなるまで塩を加えて煮ます。一方で柔らかくなったきのこをさらに塩茹でした後、たまねぎがスタンバイしてるフライパンに大麦ときのこを加え、にんにくのみじん切り、クミン、マジョーラムを加えて火を通します。
この状態でももう食べられますが、これをさらにオーヴンで15〜20分焼くと完璧。大麦の代わりにお米でやってみても良さそうです。

食べ物のほかに大事なのはもちろんプレゼント。なぜだか家族にはそれぞれ複数のプレゼントをするのが主流のよう。というか2,3つ目はそんなに大きなプレゼントでなくても、包みを別にしてワクワク感を出そう、という狙いのよう。
こちらではお店で「プレゼント用です」ときれいなラッピングを期待して言ってみても商品をそのままビニール袋に入れられることが多いので、多くの人は自分でラッピングします。だからこの時期、クリスマス模様のラッピングペーパーやリボンを抱えて家路をいそぐチェコ人をよく見かけます。
プレゼント選びに関してはチェコ人は驚くほど真剣に考えます。そしてギリギリまで隠しておいて、イヴの夜にはクリスマスツリーの下に置きます。これは義母からもらったプレゼントの一部。

クルテクの卓上カレンダーとクルテクの枕、布団カバー。クルテクはこちらでは幼児御用達キャラですけどね。。。さっそくこれで寝ています。
学校の友達からも手作りのものをもらったり、何をあげるかは悩むけれど、日本ではサンタクロースがいない、と知ったとき(10歳だった)からもらえなくなったプレゼントの習慣が復活して楽しみが増えました。
雰囲気はちょうど日本のお盆+お正月の感じ。日本では暮れに大掃除をするけれど、こちらではちょうどクリスマスの前に家中を掃除する習慣が。そしてテーブルクロスなどをクリスマス専用のに変えたりして雰囲気を盛り上げます。この時期、お墓参りをして、田舎の両親を訪ねたり、親戚が集まったりしてプレゼントを贈り合い、家でゆっくり過ごすことが多いチェコ人。教会のミサへ出かけてコレディ(koledy)というクリスマスの歌を歌ったりも。今年は結婚式で会えなかった叔母さんや旦那のいとこたちの家を訪ねたりして過ごしました。
事前調査っぽいことも心当たりがなかったからたいして期待してなかった(笑)旦那からのプレゼントは、物ではなかったけれどとても嬉しいプレゼントでした。
2006年も皆様にとって素敵な年となりますように。