ベジンカ(にわとこ)の花の天ぷらと甘いほおづき

ベジンカの木


日本も蒸し暑い日が続いているでしょうが、プラハもこのところなかなかの盛夏です。短い夏(1年の半分以上は日本でいうなら冬)をめいっぱい楽しもうということなのか、人々は思いっきり薄着になり、鳥の声はうるさいぐらい。なんせ朝5時から夜21時過ぎまで明るいのでさえずり時間も拡大。
薄着といえば、冷房のないトラム内で上半身裸のお兄さんがいたのはまだしも、こないだ某ショッピングセンターのカフェテリアで水着で食べてる若い女性二人を目の当たりにし、しばし固まりました。ヴルタヴァ川沿いや公園でも男女問わずかなりの露出っぷりなので、十分あり得ることなんですが。。。ここでは。

植物もしかり、5月あたりから次々と咲き始め、ライラックやチェスナットの花がひと段落すると街中でも郊外でもよく見かける甘い香りの白い花があります。

ちょうど金平糖サイズの愛らしい白い花が集まってできていて、そばを通ると何ともいえない甘い香りがぷぅんとします。チェコではベジンカ(Bezinka)、日本名だと、にわとこ(スイカズラ科)と言うそう。日本にいた頃は見かけませんでしたが気候が似てる北海道にはあるのかも。英名だとelderといい、実(elderberry)も食べられるそう。とてもいい匂いなので、旦那に聞くと、「花の天ぷらがおいしい」とのこと。さっそくやってみることに。まず花を適当な大きさに分け、よく洗います。

小麦粉と溶き卵の衣を着せたらさっと揚げます。

そのまま塩で頂いてもいいし、このときは天ぷらそばにしました。甘い花の味とサクサクした茎、ほんの少し後味がほろ苦いのも気に入り、以来この花を見ると「おいしそう…」とつい思ってしまいます。お毒見係のウチの九官鳥に試しにあげたら、生のままガツガツと食べていたので体によいに違いない、と思い調べてみるとビタミン豊富で咳止めの効果や発汗作用があり、飲料や油、酢などさまざまな食材に使われているようです。動物は初めて見るものでも誰に教わったわけでもないのに自然にわかるのだから不思議。
これは一番よく見かけるシロップ。水や紅茶で割って飲んでいます。

ヨーグルト、アイスクリームやシャーベットなどにもよく合いそうな味。
チェコだけでなく広くヨーロッパ、北欧にも自生しているようでいろんな国のベジンカ・シロップが手に入ります。花がこぼれやすいけれど、ただ摘んでコップに挿しておくだけでもいい香りだし可愛らしい。
嬉しくてチェコ人たちに「この花の天ぷらおいしいよねぇ」っていう話をするも、彼らにとってはたいして珍しくもないのかクスっと笑われることが多かったのですが、この花、チェコが誇るホップと同様、共産党政権時代には学生の強制収穫アルバイトの対象だったそうです。なるほどね…。
さて、ビタミンたっぷりで甘くて、日本であまり見かけなかったものをもうひとつ。

小さい頃鳴らそうとして結局うまくできた記憶がないほおづき。
食べれないものと思っていましたが、食用の種類もあるんだそうで、こちらの果物やさんでこのようなパックに入って売っています(ひとパック150円ぐらい)。味は今まで経験したことのない味で、しいて言えばフルーツ・トマトをもっと甘くておいしくしたような感じでしょうか。ナイフもいらないし、この時期プラハにいらっしゃる方でほおづき未経験の方にはおススメ。“ovoce-zelenina(果物ー野菜)"という看板のお店をのぞいてみてください。