暖冬、オルカーン(暴風)、そして雪。

雪だろうが嵐だろうが…ケナゲに走る


今日のMF Dnesの一面は、“Teplo, orkán, sníh”という三題噺みたいなタイトル。この雪でプラハのルズィニェ空港は閉鎖、チェコ航空だけで90便のキャンセル…と麻痺ふたたび。空港は明日(25日木曜)の早朝5時までは復活しない見込みだとか。
昨日の午後からしんしんと降り積もった雪は、暴君オルカーン・キリル氏が去ったばかりのチェコを、今度は真っ白に染めました。

ということで本日はrybickaとお散歩シリーズ第二弾(いつのまにシリーズ化?)、雪のプラハをご一緒に。

積もる雪を見ながら、おウチでぬくぬく…というのも捨てがたかったけれど、このトラムと雪の紅白コントラストを撮りたい誘惑に負けました。
好きなトラムの駅はいろいろありますが、今日は迷わずここ、22番と23番が通るBrusnice(ブルスニツェ)まで。プラハ城駅のひと駅先の、めぼしい見所もたいしてないところですが、夏の緑も美しく、人も少ないのでとても好きな場所です。

既に20センチ以上は積もってる感じ、それでもなお降り続く雪、でも帽子とマフラーと手袋、そして肝心の冬用ブーツがあればさほど寒くはありません。

細い木の枝が積もった雪で重たそう。時々耐え切れず雪が落ちると、粉砂糖をまいたように煙ります。


白樺の木々越しに駆け抜ける、愛らしいトラムに胸がキュンとなります。。。

とこのままではトラムおたく日記になってしまうので…雪景色も少々。

いつものオレンジ屋根が今日は白。左にロレッタ教会の塔、その横には、映画『コーリャ愛のプラハ』でおなじみのペトシーンの展望台がうっすら灰色に見えています。

Brusniceから再びトラムに乗って一駅の、Pohořelec(ポホジェレッツ)で下車、サヴォイホテル側に渡り、すぐ右手にあるPohořelec通りの駐車場を横切って左にしばらく歩くと、こんな階段があります。

目印はピンクの建物と茶色の案内標識。ここから階段をのぼると。。。

ストラホフ修道院へすぐ出られるのです。プラハ城、ロレッタ教会、ストラホフ修道院(今回の007でもバッチリお目見えの豪華図書館が必見!)とここらへんの見所を廻るのに、ぜひとも知っておきたい近道です。

ストラホフ修道院そばの高台からの眺め。左手にはプラハ城、でも普段よりさすがに歩いている人は少なく。。。


レトロな車の雪かきに一生懸命なおばあさん。

レストランやお土産屋さんの前でも、雪かきをしてるところにたびたび出会いました。

こんな日ならゆっくりお買物できるかも。ウーヴォス(Úvoz)通りとロレターンスカー(Loretánská)通りに分かれるたもとにある、小さな雑貨屋さん。そしてすぐそばの。。。

レトロな公衆トイレ、オンエア中。

ロレターンスカー通りからネルドヴァ(Nerudova)通りへと続く階段の途中、こわごわ歩いていると、やはりここでも雪かきしていた品のいい婦人に出会いました。目があったので、雪かきご苦労さまです、と言うと、上手に店に案内され(笑)、時々通るものの一度も入ったことがなかったこの焼き物のお店へ。

素人風ではあるけれど、素朴な木の実や葉っぱのモチーフがプラハっぽい焼き物の数々。でもキリスト教のモチーフが多いので、誰が作っているのか尋ねてみると、近所のカルメル修道会のシスターたちの手作りなんだそう。

金糸の刺繍が入ったスカーフは、出産祝いに贈られるものだとか。

カウンターの奥にはろうそくがたくさん。

「シスターたちはね、たまに食料品の買出し程度に外に出る以外はずっと修道院にこもっているのよ。お年寄りの世話をしたり、こういうものを作ったりして」と話す店のご婦人。「…そんな生活、想像できないけど…」と煩悩だらけな私が答えると、「私も」と笑うご婦人。

花瓶やおおぶりの果物入れなんかもステキでした。
気に入った木の葉のブローチと小さなお皿を包んでもらって店を出ると、暮れ始めた雪景色の美しさに寒さも忘れ、しばし立ちすくむ。。。




古い映画のフィルムの中へ迷い込んだような気分。


ネルドヴァ通りから、プラハ城へと続く坂道の辺りまで来ると、車はすっぽり雪帽子をかぶっていました。

さてひと休み、と近くの馴染みのホスポダに足を向けたものの、やっぱりビールじゃなくて暖かいものが飲みたくなって、カレル橋そばの小道、ミシェンスカー(Mišeňská)通りのカフェ、カフィチコ(kafičko)へ。


ラテとほんのり暖かいアップルパイを注文。

コーヒーにはもれなく、エベル(プラハでわりとおいしいコーヒーを売ってるチェーン店)のひとくちチョコレートがついてきます。このエベル銘柄のコーヒー豆もいくつか、カウンターで買えます。

このそばのエベルが18時で閉店してしまうのに、ここの素晴らしいところは22時まで開いてること。このあたりでおいしい夜お茶(これも死語やね…)を手頃な値段で楽しみたかったら、ちょっと場所がわかりづらいけれどオススメ。

店内はすっきり、ゆったり、jazzが静かにかかっていて、もうちょっと乱雑なカフェのほうが好みだけど、一人で書き物したり、静かに語り合いたいときなんかにもいい場所。


退屈しないように、いくつか本も置いてあります。

さきほど買ったばかりのお皿をやっぱり見たくて広げたりしながら。。。

表紙のデザインがお洒落なプラハの建築の本、

キュビズムページをチェックして満足した後、まだささやかに降る雪の中、家路へ。。。

雪のプラハ城は、墨絵のようでした。