プラハの秋満喫

葡萄の葉は美しい赤に


今頃日本は金木犀の香り漂う頃でしょうか。プラハもすっかり秋色に変わりました。

プラハには魅力的な公園がいくつかありますが、この季節はなんといってもプラハ城そばのナヴァレフ(Na Valech)庭園がお気に入り。プラハ城への3つの入口のうち、地下鉄マロストランスカー駅から一番近い入口、つまり旧王宮階段(Staré zámecké schody)を登りきったところに、ひっそりとその入口はあります。プラハ城正門右横から、そして第三の中庭からも入れますが、こちらから公園を抜けて、新王宮階段(Zámecké schody)を下りてくるコースがラクでおすすめ。

ここはあまり団体観光客は来ないし、プラハ城を見学した後に気がつかないで帰ってしまう人も多いのか、プラハ城のすぐ南に位置しながら、いつもたいして混んでいません。チェコ語もよく聞こえてきます。

落ち葉をさくさく踏みしめたり、

プラハ城旧王宮の壁に伝う見事な紅葉を眺めたりしながらお散歩。

ところどころ南に広がる小地区の景色を楽しめるよう展望スペースがあります。

右手にペトシーン(Petřín)の丘、堂々たる存在感の聖ミクラーシュ教会、そして赤い屋根がかわいらしい小地区のパノラマが。

落ち葉が既にたくさん。こんな落ち葉駆除車が出動。

チェコカップルを邪魔しないようにそぉっと撮ったここは、その名も天国の庭園(Rajská zahrada)。ナヴァレフ庭園に続くこの場所、16世紀の昔ハプスブルク家フェルディナント1世のプライヴェートガーデンとして作られ、その当時から葡萄の木が植えられていたのだとか。



夏の強い日差しと違って、秋の柔らかい光が照らす葡萄の葉のグラデーションは眺めてるだけで穏やかな気持ちに。

さてここで、リュブリャーナ生まれの建築家プレチニク(Jože/Josip Plečnik, 1872-1957)の名前を忘れるわけにはいきません。マサリク大統領時代、聖ヴィート大聖堂や中庭の改築を請け負った彼は、プラハ城の南に広がるこの3つの庭園(Rajská zahrada, Zahrada Na Valech, Hartigovská zahrada)にも手をいれ、南庭園(Jižní zahrady)としてひとつにつなげました。
チェコの近代建築の父とも言われるヤン・コチェラ(Jan Kotěra,1871-1923)とともに、ウィーンアカデミーのオットー・ヴァーグナー(Otto Wagner, 1841-1918)のもとで建築を学び、コチェラの後任でプラハのウンプルム(Uměleckoprůmyslová škola v Praze)でも教鞭をとっています。プラハ城のほかにプラハで最も重要な彼の建築はこれ。


ヴィノフラディ地区にある聖心教会(1928-1932)です。
地下鉄A線Jiřího z Poděbradで降りたら、TV塔とともに見逃せない建物です。

プラハ城の南庭園に話を戻します。この庭園内をゆるやかに西へ登っていくと左手の壁越しに階段が見えてきます。


「天国の庭園」の先の階段を登ってフラッチャニ広場に出たら、左手にUターンすると、新王宮階段で小地区まで戻れます。

映画やCMにも頻出のこの階段、ホントいつ来ても絵になる階段なのです。南公園は冬場は閉鎖されてしまうけれど、近くいらっしゃる方はお城見物の合間に立ち寄ってみてください。